母:敦子物語 Vol.67

昔から、寺院は好きで、荘厳な気持ちになる場所の一つであった。近所にあった川崎大師もよく訪れたが、 7年に一度ご開帳のある長野の善光寺などイベントがあるタイミングで、様々な寺院巡りをしていた。善光寺は子供が小さい頃から、ご開帳の度に訪れた。最初はどこに泊まっていいかも分からないので、ギリギリの予約で空きがあった薄暗いホテルに泊まったり、様子がわかるようになってからは宿坊に泊まるようになったりと、少しずつ善光寺通になっていった。

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宿坊も、参道内にある善光寺と近い存在のところを選ぶと、早朝の行事に優先的に参加させてもらえたり、お数珠頂戴などでも良い位置で住職が通るのを待つことができたりした。最初は宿坊で精進料理というと、かなりあっさりと寂しい食事なのかと思っていたら、泊まった宿坊は、とても技の光る食事内容で、とても美味しかったので、そこからは数回同じ宿坊に宿泊することにした。

通常の参拝以外に、住職から戒名にも使えるという名前をいただくという行事があり参加した。すると自分が手にした名前に、夫の名前の一文字が含まれていたので大変驚いた。二文字のとても穏やかで良い名前だったが、誰にどんな名前が来るのかわからないのに、自分のことを知って渡されたかのような偶然に不思議な縁を感じたのであった。