母:敦子物語 Vol.55

友がバイクの免許を取得してから間もなく、自分も中型バイクの免許に挑戦しよう!と決意し、近所の教習所に通い始めることにした。人見知りはあったが、新しいことに挑戦したり、出来なかったことが出来るようになったりすることは好きだった。既に車の免許は持っていたので、学科試験は免除されていたこともあり、実技だけならそれほど大変ではないだろうとも思った。

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実際に、原付には乗っていたこともあるので、バイクの実技はそれほど難しいものではなかったが、教習所のシステムで何度か切ない思いをした。この教習所は最初にその時間に実技を受ける生徒のファイルをまとめて教官が持参する。教官は6-8人ほどいて、横一線にテーブルに並んで座る。最初の教官が生徒のファイルの中から、自分の生徒を選んで次の教官にファイルを回す。次の教官はまた自分の生徒のファイルを抜いて残ったファイルを隣の教官に回すというシステムだった。ただ、その教官は毎回決まっているわけではなく、どうやら、教官が都度自分が今日教えようと思っている生徒のファイルを抜くという雰囲気だった。よって、その前に立つ教習生は、自分のファイルが誰に抜き取られるかを見ることが出来る。自分のファイルは中々抜き取られず、時には一周回って最後まで誰も取らないので最初の教官が結局受け持つというような場面を何度も見なければならなかった。

後で思えば笑い話だが、その時は切ないし、いつになったら自分のファイルを取ってくれるのかと不安だしということで、チャレンジ精神も時には、切ないものになるということをこの時に実感したのであった。