母:敦子物語 Vol.34

ある日、直が発疹が出来た!と真っ赤になった身体を痒がっていた。理由を聞くとウインナーを生で一袋食べてしまったとのこと。なんで生で食べたの?と聞くと「美味しかったから」と高校生になっても、幼い面があるなあと思いながらも、まだまだ子供の部分に安心もしていた。そんな直がある時、スター誕生のオーディションに行きたい!と言ってきた。どうせ無理だろうと思ったので「行ってきていいよ」と許可を出した。その当時はピンクレディも、山口百恵もスター誕生からデビューしていたので、有名な番組ではあるが、狭き門だということもわかっていたので、うちの子が受かるわけないという気持ちだった。

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ところが、オーディションで、歌のうまさが評価されたのではなく、面白いキャラクターが評価され、欽ちゃんの目に止まった。そこでお笑いタレントを目指すということで欽ちゃんの事務所にスカウトされたというのだ。この結果にはあまりにも驚いたが、直は歌手じゃなくても良いので、芸能界を目指して事務所に入りたいという。かなり熱心に自分を説得したいようだった。ただ、行動も見た目もまだまだ子供で、芸能界などは危ない世界だという気持ちもあったため、騙されたりしたら大変だという気持ちが先行し、事務所入りを反対した。直はその意見に従い、芸能界入りのチャンスを諦めたのだった。

後から思えば、これは本人にとって大きなチャンスだったかもしれないし、本人がやりたいということをやらせてあげれば良かったのかもしれないとも思ったが、どうしてもその決断には踏み切れなかった。いつまでも子供で、大切に思う気持ちが故なのだが。