母:敦子物語 Vol.27

自分の子供時代を振り返っても、運動会に両親が一緒に参加してくれたり、お昼に両親と一緒にお弁当を食べたりという思いではない。そして、直にも生活にゆとりがなく、そうしたことはしてあげられなかった。そこで友には、色々な面で今までしてもらえなかったこと、また出来なかったことを実践することにしていた。

運動会で、子供と一緒にお遊戯に参加したりするというのも、不思議な体験であった。お遊戯などしたこともなかったし、他のお母さん方と参加するのも気恥ずかしいものがあった。夫は子供と一緒にプログラムにあったおさるの籠屋に参加して、途中まで一番で走っていたので張り切りすぎたのか、最終場面で転んでしまい怪我をして慌てたり、お昼は家族揃ってお弁当を食べたり、子供が徒競走で走る姿をカメラにおさめたりと大忙しの1日を過ごすことが出来た。

普通の家族がしていることが出来る喜びと、自分がこんなことをしている?という妙な感覚が混在していたが、これも子供がいるからこそ出来る体験だと感じていた。

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直も自分がしてもらえなかったことを、友はしてもらえていると拗ねてもおかしくない場面がいくつもあったのだが、むしろ一緒に子育てに参加するもう一人の母親のように、妹を大切に育てていた。そんな周囲のサポートもあったお陰で、元々は暗い性格であった自分も、子供をきちんと育てるという目標に向かって、前向に考えたり、参加したこともないことに挑戦したのだった。

そんな大切に育てられた友であるのだが、ある朝、登園した際、玄関で靴を脱いだ瞬間に、横に居た男の子がサッと友の靴を取って、下駄箱に入れてくれた。親としては「ありがとう」と微笑ましい気持ちになったのだが、友は「ぎゃーーー」と泣き叫び始めた。普段は人前で泣いたりしないのに、自分の思った順番を崩されたと思ったのか?男の子の優しさなど理解出来ない歳であったのであろう、優しさに対しおかまいなしに泣き叫んでいる。男の子は困ってオロオロしていた。「ごめんね、ありがとうね」と男の子に声をかけても、友は泣き止まない。。。

こんな場面でも、穏やかで優しい直との性格の違いを感じつつ、自我の強い子供を育てるとは容易ではないなと思ったのであった。

Tomomi Naka

Tomomi Naka

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