母:敦子物語 Vol.16

夫の実家は神戸だったので、結婚の挨拶に行くという矢先、先に夫の両親が東京に出てきてくれた。両親に挨拶をする時も、再婚であること、子供がいることなどを非難されやしないかと不安もあったが、夫の父はそういうことには特に触れず、事情を察し笑顔で温かく受け入れてくれた。ただ、この当時の再婚というものは周囲にとっても恥ずかしいことであるという印象もあり、結婚式を実施するというのははばかられた。よって、親戚一同への挨拶を含めた食事会を神戸で開催するということになったのだが、夫側の兄弟姉妹は6人で、全員から受け入れられるか不安に思いながらの訪問となった。

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いよいよ神戸で夫の親戚一同への紹介をされる時、子供を連れて行ったら驚かれるだろうとも思ったが、既に夫の両親とは事前に会っていたので、既に話しは聞いているだろうと思っていた。ところが、実際に対面すると、兄弟姉妹達は驚いた様子で子供を見ている。ただ、驚いた表情で戸惑ってはいるものの、笑顔で迎えてくれた。その後に聞いてわかったのは、夫の父が事前に「詮索したり、非難したりするな」と親戚一同に言ってくれていたということを知った。こんな風に迎え入れてもらえたことに感謝した。

挨拶も無事終わり、いよいよ結婚生活がスタートした。前回の離婚で、とにかく家は明るく癒しの場にしたいと考えていたので、穏やかな家庭を築くことに勤しんだ。夫は関西人のノリなのかいつも自分を笑わせてくれ、家庭の中が明るい空気に包まれているのを感じた。娘もようやくホッとしたのか、学校でも落ち着いて勉強が出来るようになっていった。
ただ、時には夫との価値観の違いでぶつかり合うこともあった。夕食のおかずに関して夫は子供と全く同じであることを望まない。とんかつであれば、夫の方が子供より数が多かったり、サイズが明らかに違うものでないとおかしいという考えのようだったし、おかずは一品でも子供より多くして欲しいという要望があった。この部分はどうしても釈然としない思いがあった。
時には、それが自分の連れ子だから、そんなことを言うのか?と悪く考えたりもしてしまう。相手は初婚、自分は再婚という事実を変えることは出来ないということが、知らず知らずのうちに負い目に感じてしまっていたからこその発想だったのかもしれない。
※母の当時の写真が手元になかったので、私の幼少期の写真を使用。