母:敦子物語 Vol.14

いざ、生活をスタートさせてみると、二人が食べていける分の仕事をするというのは容易ではなかった。結局、必死に日々を生きるという生活でゆとりを持って子供と接するようなことは出来なかった。仕事が短期で終わってしまうこともあるので、その都度、次の仕事がある場所へ行くためには転校もさせたり、不規則な時間で仕事をしなければならない時は、長期間親戚の家に預けたりもした。

そんな中で今日一日、学校でどんなことがあったのか?どんなことを悩んでいるのか?そんな簡単なことすら聞ける余裕がなかった。大人しくて我がままを言わないというよりは、母親を思うあまり、自我を抑えていたのかもしれない。

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そんなことに気付いたのは、子供の学校から呼び出しをされたことがきっかけだった。学校でも大人しく目立たないはずなので、問題など起こすはずはないのにどうしたんだろう?と思い学校へ行ってみると、先生から勉強に遅れが出てきていること、学習スピードが遅いことなどの指摘を受けた。日常生活には何も問題を感じたことがなかったので、まさか自分の娘が?と初めは耳を疑った。ただ、娘はどんな時でも母である自分に対して気を使っていたこと、学校で何があったかも知らなかったことなどを思えば、無理もないのかもしれないと思うようになった。

大切に思うからこそ、始めた二人の生活に少しずつ歪みが出てきたことを感じた。

いつかは再婚をするかもしれないという気持ちは持っていたが、大切な娘もいるので、軽々しく誰かと付き合ったり、寂しさを紛らわしたりすることだけは決してしたくなかった。そこで、娘に負担がかかっていたも理解はしたのだが、安易に再婚という道を選ぶことはせず、もう少し子供に目を配りながら二人で頑張ってみようと決意したのだった。

※母の当時の写真が手元になかったので、私の幼少期の写真を使用。

Tomomi Naka

Tomomi Naka

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