母:敦子物語 Vol.12

程なくして、もう一人女の子が産まれた。次女は元気そうで安心したが、長女が成長していくにしたがって、より病気の進行が目に見えてわかるようになっており、日に日に不安が募っていたので、次女のことは幼児期から十二分に手をかけてあげることはできなかった。長女の看病に追われるようになると、次女は夫の両親に預けることもあったが、親を困らせたり、泣きやまないということもない大人しい子だった。それに甘えて時間のほとんどは長女の世話に費やした。

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医師から言われた3年という日が近づいてきたが、時には安心出来るような反応もあり、悪い時ばかりではなく波があったこともあり、もしかしたらもう少し頑張れるのではないかな?と思った矢先のクリスマス、長女は隣で静かに眠りながら旅立ってしまった。そこからは病気のことを告げられた時以上の喪失感、我が子を失うとはこれほどまでに無力感に襲われるのかというほど、悲しみが一気に襲ってきた。どうやってこの悲しみを乗り越えられるのか全く先が見えない暗闇の中で、ある日、ふと見上げると、そこに次女の顔があった。

あっ私にはもう一人子供がいたんだ。。。そう思ってしまうくらい、常に次女は大人しくわがままも言わず自分のそばでジッとしていた。言葉を発するのも他の子より遅かったかもしれないが、長女を失った後しばらく何も出来なくなってしまうほどの悲しみだったこともあり、次女の発達段階に気を向ける余裕もなかった。

放っておいた次女に申し訳ない気持ちと、この子を大切に育てていかなくてはという気持ちが交差し、久しぶりに次女を抱きしめて泣いた。

※母の当時の写真が手元になかったので、私の幼少期の写真を使用。