母:敦子物語 Vol.10

この家での生活は居心地が良かったこともあり、かなり長い間、同様の生活を続けさせてもらった。ただ、実家を出て、別の家に居候しているという生活に変わりはなく、自分の居場所といえるものではないことにも気付きはじめていた。男性の実家に置いてもらえることより、自分の家庭を持ち、自分の家と言える場所が欲しかった。男性も自分のことを「家出をしてきた若い女性」くらいにしか思っていないのかもしれない。故に、自分と一緒に住むというのではなく、実家に気持ちが落ち着くまで住んでいればいいと思ってくれたのかもしれないなどと考えた。

IMG_7695

そこで、その男性が実家に戻った時に思い切って、心のうちを話してみた。最初はかなり驚いて半信半疑のような態度であったが、ようやく真剣な気持ちを理解してくれたのか、それであればと男性の両親にも結婚するという話しをしてくれた。これでようやく、自分の家を作っていけると思った。

男性の両親はとても喜び、祝福してくれたので、安心して新しい生活のスタートを切ることが出来た。自分の両親にもきちんと挨拶に行こうと準備をしてくれたので、暫く帰らなかった実家に、お土産を沢山かかえて一緒に実家にいったのであった。父(祖父)も母(祖母)も特に驚くという感じでもなく、案外淡々としていたのは予想出来る範囲のことであるように感じた。

※母の当時の写真が手元になかったので、私の幼少期の写真を使用。