母:敦子物語 Vol.9

医院で住み込みの生活が長くなったせいか、久しぶりに実家に戻ることになっても「もう実家には居場所がないな」と感じるようになった。時折家族の顔を見に行く程度であれば良かったのだが、自分が実家で生活し続けていくことを誰も喜んでくれないのではないか?と思ったからだ。本当は家族と一緒に生活をしながら、外で働き続けていきたいと思ったが、早々に自活して、妹や弟達の衣類や学校で必要なものをお土産に持ってかえれるようにしなければならないのかもしれない。そうすることが母(祖母)の望みでもあるように感じた。

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そんなことを思っていた時に、一人の男性と知り合った。自分より一回りも年齢が違ったせいもあり、話していても大人で知識が豊富なように感じた。また、その当時では高かったラーメンを食べさせてくれたり、新しい世界を見せてくれる人との出会いに、この人と一緒にいれば家を出ることが出来る!と思った。そこで知り合って間も無く家を出て、この男性の実家で暮らすこととなった。男性の両親はとても穏やかで、突然やってきた自分に詮索することもなく、とても親切にしてくれた。いきなりこの家の娘になったように、朝から男性の母が食事を用意してくれ、それを食べて仕事に行き、また夜もその家族とともに夕食を食べるという不思議な生活を送るのだった。

ただ、知り合ったはずの男性は家に帰って来る日が少なく、このままこの家にお世話になっているだけでいいのかな?と思うようにもなった。

※母の子供の頃の写真が手元になかったので、私の幼少期の写真を使用。