母:敦子物語 Vol.6

休みをようやくもらって、楽しみにしていた実家に帰る日、院長の奥さんからお土産を持たせてもらった。産婦人科医院は、贈答品が多く、家の中に贈答品が重ねて置いてあった。贈答品は、誰からもらったものなのか、内容はどのようなものなのかを確認してあり、その内容別に分類がきちんとされていた。その中から、奥さんが選んで実家に帰るんだからこれを持っていきなさいといってくれたものだった。

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少しでも家族の足しになるようにと思い、お土産を必死にかかえて、家族のもとに急いで帰った。ところが、久しぶりに会うにも関わらず、思っていたより、母(祖母)は喜んでくれているようには見えない。むしろ何で帰ってきたの?と言わんばかりの表情にも見えた。自分としては、ただ笑顔で「おかえりー!よく帰ってきたねー!頑張ったねー!」と言う言葉を望んでいただけなのだが。

あっという間に、また医院へ戻る時間になった。弟達は泣いておいかけてくれたので、少し気持ちが救われたが、何だか晴れない母(祖母)の顔が気になりながら実家を後にした。

医院に帰ると再び山ほどの仕事が待ち受けていた。時には院長の手伝いで、診察室周辺の雑務も行うので、診療にくる患者さんの良い話も悲しい話も全て聞こえてくる。喜びの妊娠や出産にまつわる話は良いのだが、そういう内容ばかりではない。

15歳-17歳頃の多感な時期に働く場所として産婦人科医院というのは、あまりに切ない内容のことも多く、何故、母が娘に、ここで働けと言ったのか?こんな思いをする自分を理解してくれているのかな?と再び母のことを思うのだった。

※母の幼少期の写真が手元になかったので、私の幼少期の写真を使用。